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雪崩救助講習会に行ってきました!

みなさんコンニチワ

盛岡店のトーチャンです

先日、八幡平の《大黒森管理協同組合》さん主催のBCワークショップに参加してきました

この講習会はBCスキーヤーやスノーボーダーだけではなく、パーティ全員のビーコン携帯がまだ一般的ではないと言われる冬山登山愛好者にも門戸を広げ、ビーコン・プローブ(ゾンデ)・ショベルを使用した雪崩からの救助法を学ぼうというものです

よくある講習会と決定的に異なるのは参加料。

なんと、3,500円なんですっっっ!

これは講習内容が基礎的な部分だけという事もあるのですが、それよりも大黒森管理協同組合のメンバーたちの『雪山を愛する人たちに広く安全を啓蒙したい』という熱い想いの下に開催されている部分が大きく、実際他のエリアの仲間たちから『安すぎだろw』というツッコミもあるようです

実際に参加してみて、事前の仕込みなどもあるので利益出てないだろうなーというのはすごく感じました

それでも毎年数回の講習会を開催しているメンバーの方々には脱帽です!

さて。

受付開始時刻の30分前に旧《いっぷく茶屋》の向かいにあるパーキングに到着

何年ぶりの冬の八幡平だろう…

いまはもうユースホステルも《ハチカン》こと八幡平観光ホテルもなく、代わりに温泉地帯の地熱を用いたプラントが蒸気をモクモクと吐いています

そして例の暖かくて立派なトイレの横には大黒森管理協同組合の小ぢんまりとしたプレハブが。

午前中のビーコンの基礎講習は、人数が多いためプレハブではなくトイレの建物のロビーをお借りすることに。

↓ 時間が来るまで説明書を熟読する友人

まぁ前日までに読んでおきなさいって話なんですがw

しかし、ビーコンって無線機なんかと同じで説明書をきちんと読まないと使いこなせない機能も多く、詳しい説明書がネット上のPDFファイルにあるだけのモデルなんかも一度プリントアウトして熟読するのが大切です

さて、時間が来ました! 講師の工藤さん登場です!!

ビーコンの構造の話から始まり、フラックスラインの話や埋没者と捜索者のビーコンの向きによる《カップリング》の話、そしてスマホや無線機やデジカメなど様々な電子デバイスがどのような影響を及ぼすかについて丁寧に教えて頂きました

特に興味深かったのは、装着時のビーコンの向きによる《発見のされやすさ》についての話

多少の違いはあれど長方形をしていることが多いビーコンですが昨今のものは基本的に3本のアンテナが内蔵されており、通常はいちばん長い《Xアンテナ》から電波を発信しています

次に、雪に埋没した時に立位になる可能性は統計的に約7%とのこと

他はうつ伏せや仰向けなど様々ですが、基本的に地面に対して平行の状態に埋まることが多いそうです

そして捜索者は基本的に自分のビーコンを地面と平行に構えて捜索します

という事は、装着する際にXアンテナの向きと体軸を一致させれば、ゴロゴロ転がされても捜索側からすれば条件は変わらない

一方でビーコンの長辺を横向きにした場合は《うつ伏せ&仰向け》の場合は地面とXアンテナが平行ですが、もし《横向き》で埋まってしまうとXアンテナは天地方向になってしまい、フラックスラインの向きが理想的ではなくなります

このようなことに気づきはじめた各メーカーは、徐々にホルスターの形状を《ビーコン本体が縦になるように》改良しようと動き出しているとのことでした

また、ヒットしてもらうには腹部に装着した方がパンツのポケットに入れるよりも良いということも詳しく解説していただきました

次は外に出て実際に自分のビーコンを捜索モードにして、マットの下に隠してあるビーコンまでフラックスラインに従ってたどり着く体験です

10m間隔で向きを変えて2個のビーコンを設置します

スケールが曲がっているのは風であおられている為。

真ん中の黄色いメンバーがサーチャーです

離れて見ていると、半円を描くフラックスラインに沿って歩いてくるのがよく分かります

今度は10m離れた位置から、実際に雪に埋めてあるビーコンまで捜索モードでたどり着いたのちに《プローブ(ゾンデ)》と呼ばれる棒で雪面を突き刺すようにして、ビーコンをしまって埋めたマットにヒットさせ掘り出す練習

ビーコンの画面から矢印が消えたらフラックスラインを用いた《電波誘導法》から《十字捜索法》に切り替えるのですが、十字捜索ではビーコンの向きは一定のままにしないといけません

また、講師の方曰く『最後の0.3とかまでピンポイントでやらなくても、どうしても分からなければ実際の現場では掘っちゃった方が早い』と。

これ冷静に考えるとそうなんだけど、ついつい数字を追いかけちゃうんです(反省…)

ちなみにトーチャンはプロービングも一発ヒットで最速タイムでした!

新品のビーコンの感度にも助けられたかもですがw

ヒルゴハンの後は懐かしの旧八幡平スキー場ゲレンデに移動して《シナリオレスキュー》です

シナリオレスキューとは『ここで雪崩が発生しました! 役割分担して埋没者を救助してください』という訓練です

効率的なスコップの使い方や、パーティ内の各役割の人の動き方、さらにはビーコンに表示される距離がいくつになったらスキーやスノーシューを脱げばいいのかなど、年々変わっていくメソッドの最新のものを教えて頂きました

特に、雪が深い状況ではスキーをいつ脱ぐのかというのは結構難しい

また、デブリの上なら潜らないという言葉もあったけど、実際に経験した雪崩の事故ではスタスタ歩けるほど締まってはいなかったし…

ということで、サーチャーは大体5m辺りまで行ったらスキーやスノーシューを脱ぐべし、だそうです。

そして、これも考えてみると当然なんだけどビーコンでのサーチが終わってプロービングが始まったら、《シャベラー》と呼ばれる掘り出し係は埋没ポイントの下方から掘り始めちゃっていいとのこと

いざ掘り出しが始まると掘った雪が後方へ溜まっていくので、それが邪魔にならないように最初から掘って穴を作っちゃえというプッシュ型の発想です

《待っている時間を、いかに有効に使うか》

講師の石坂さん『もう、待ってるくらいならジャンジャン掘っちゃってください』って。

これにはサーチャーがビーコンに表示される距離を大きな声で周りに伝え、シャベラーはその距離を基に『多分あの辺だ』という見当をつけて先回りして掘り始める、という連携も欠かせません

チームワークに加え日頃の訓練を重ねていかないとなかなか体が動かないとは思いますが、知識としてだけでも知っているか否かで埋没者を掘り出すまでの時間が短縮されることにつながります

2チームに分かれて行ったシナリオレスキューでは、お互いのチームの動きを見て見習うことがあったり『こうした方がいいよね』という部分があったりで、とっても勉強になりました

そして最後に時間が余ったので、埋没体験です!

↑埋没希望して埋められる友人のSさん

ホントに窒息すると大変なので上半身だけ軽く埋めましたが、みんなが『おーいっ! 大丈夫かーっっっ!!』と叫んでいるのは本人に届いた一方、本人の『大丈夫でーす!』の声は一番近くにいたメンバーに微かに届いただけ

若い頃に《スカッフ&コール》というのを習ったけど、やっぱり雪面に耳を近づけないと埋没者の声は聞こえないんだなーと再認識したのでした

*****

かつて私がスキーガイドをやっていた頃は、仲間内で項目ごとに分担して講師を持ち回りでの勉強会はありましたが外部講師を呼んでの講習や今回のような講習会への参加は初めての体験でした

改めて今回のBCワークショップに参加してみて、道具の進化だけでなく《使い方》の進化も身をもって感じ取ることが出来ました

そして何より、継続してこういった講習会・勉強会に参加する重要性を感じることが出来ました

また機会を見て、ぜひ参加したいと思います

大黒森管理協同組合のBCワークショップは今年で3シーズン目をむかえたとのことで、今後は内容をステップアップさせた講習会も企画していきたいとのことでした

実現した時にはグリーンハウスにもパンフレットを置きますので、皆さんお楽しみに!

グリーンハウス盛岡店では、地元で開催される雪崩講習会やトレッキング・スノーシュー等のツアーのパンフレットも店頭に準備しております

『道具は買ったけどどこで練習すればいいの?』『誰か一緒に行く人がいるといいんだけど…』という方は是非ご活用くださいネ!

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今回の講習で大黒森管理協同組合の講師オススメのテキストがこちらです

画像ちっちゃくてスミマセン

山と渓谷社から2022年11月12日に発刊されたばかりの《増補改訂版 雪崩教本》です

従来の《最新雪崩学入門(1996年)》や《決定版 雪崩学(2002年)》と同じシリーズなので、とても読みやすく書かれていました

ご興味のある方はお近くの本屋さんで注文してくださいネ!

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