
【イベントレポート】ルンルン春の陽気♪ 酸ヶ湯ガイドと行く春スキーツアー
皆さんこんにちは盛岡店の保坂です。 本日は、4/3に開催した八甲田バックカントリースキーツアーの様子をお伝えします。
さて。
《春のポカポカ陽気を滑る》みたいな謳い文句で募集した手前、スタッフが一番気にしていたのは当日の天気!
毎日起きるとすぐ・仕事中も毎日のように確認していたのは八甲田の天気でしたw 幸いにも週間予報はどんどん好転し、数日前には完全な晴れマークに!
放射冷却による凍結は稜線までのシール登行にはつらいけど、午後になれば雪面も緩んで滑走時には好条件になるはず。
しかも日中の気温は低めでも風がほとんど無いような予報だったので、体感気温はそれほど寒くなさそうです。
そして当日 ロープウェイ山頂駅でゲストの皆さんと合流し、身支度を整えてから田茂萢(たもやち)岳の山頂へ上がります。
天気予報通りの晴天で、アウタージャケットがいらないほどの陽気っ!
思わず笑顔がこぼれちゃいますネ。

今回のガイドは私の古巣の酸ヶ湯温泉スキーガイドチームの《ジュニア》こと、サトシ君にお願いしました。
新人で入ったときは成人式前だったのに、いまではすっかりベテランガイドの一員です。
参加メンバーの自己紹介をしたり、本日の行程の説明や注意点などをガイドから説明してもらって出発!
田茂萢岳のピークからすぐ下にある田茂萢湿原へ滑り込み、平坦な部分はスキーを担いで《ニセ田茂》の斜面へ。

ここは夏場だと木道が整備され、ヒョウタン状の遊歩道には《八甲田ゴードライン》という名前が付けられています。
ヒョウタンのことを英語で《Gourd》っていうんですね。 ガイドになった頃、しばらくゴールドラインの間違いだと思っていたのはナイショですww さて、もう一度スキーを履いたらニセ田茂の斜面に移動です。

斜面のちょっとした向きや斜度によって雪質が変わるため、当日の状況に合わせて一番滑りやすい場所に案内してもらえるのがガイドツアーの魅力です。
この日も前日までの状況やメンバーの足並みを考えて楽しい斜面に連れて行ってもらいました。

滑る方向・停止する位置・雪の状態などを確認したらドロップ!

これはMさんかな? 昨年てこずっていたパワーのあるビンディングを手なずけたようで、気持ちよさそうに滑っていきます。
背景の毛無岱の湿原と南八甲田の山々が綺麗ですね。左が主峰の櫛ヶ峰、右側は横岳です。

こちらはベテランのYさん。年輩の方ですがガンガンいっちゃいます!

今回津軽エリアから唯一参加のKさん。《魅せる滑り》は相変わらずですね♪

この日がBCデビューのHさん。ここの斜面はちょっと緊張気味かな?

こちらはSさん。力強い滑りが印象的です。
正面の沢を渡ったらトドマツの間をすり抜けて進み、スキーが止まったところでシールを装着!

春は板が濡れることが多いので、しっかり水分をふき取ってからシールを貼るのがトラブル回避の基本です。
また、グライド性能のアップとシールの濡れに起因する着雪防止のためにも《シールワックス》を使いましょう!
もし行きつけのショップで売り切れていた場合、高めの雪温を想定した柔らかめの安いホットワックスでも代用できます。
さぁ、ブーツもビンディングも歩行モードにチェンジしてハイクアップ開始です!

疲れないシール登行のポイントは《ダルそうに歩く》、これに尽きます。
コレどういうことかというと、スキーを雪面から持ち上げずに《引きずって》歩くことにより大腿部の筋肉への負担が減るんですね。
頑張ってガシガシ歩くとスキーが持ち上がっちゃうので、慣れないうちはつま先を引きずるように歩くことを練習してみてください。
ちなみに私はスキーシーズンになると、何も落ちていない店内でつまづくことが増えますw
ゆっくり高度を稼ぎ、大岳ヒュッテの手前の休憩ポイントまで来ました。

正面にあるのは井戸岳 ここからは見えませんが山頂付近は噴火口になっています。
そして、振り返ってみると..

背後には津軽平野と岩木山、その左に台地状に伸びる白神山地。
なんだかこの光景を見ると『ただいまー』っていう気持ちになります。
ここを離れて10年になるんだなぁ…
さて、休憩を終えたらハイクアップの核心部です

ここはトドマツが密生している尾根の上を行くのですが、 まともに風が吹き抜ける場所であることや各パーティが同じ部分を歩くことになるために足元の雪が硬いことが多く シールを意識的に雪面に対してフラットにしないと一発でスリップしちゃうんです。
クライミングサポートを立てるとトラバースでスリップしやすくなったりするので、場数を踏むのが一番かも。
八甲田にいたときは春になると毎日ここを歩くので、かなり鍛えられました。
トドマツ帯を抜けると最後の難関ですw

ここは大岳ヒュッテ直下の沢ですが、風の通り道であるためスリップしやすく、しかも地形的に幅が狭いためルートの取り方に自由度がありません。
落ち着いて雪にシールをペタッとグリップさせることができれば怖くないのですが…

周りが広くなってきたら鞍部もすぐ近くです!
ってことで大岳ヒュッテ到着っ!

お疲れ様でーす!
…って、入口が埋まってるんですが。。(–;)
この冬は風が一方向から吹き付けることが多かったようで、入口も掘り出せないほどガッチリ埋まっちゃったとのこと。
元々、出入り口の方角がおかしいんですよね、この小屋…
で、今年の正式な小屋の入り方がコレ!

窓に向かって階段も掘られていますww
あ、使用後は必ず窓を締めましょう!
さて、一息ついたら赤倉岳に向けてもう少し登っていきます。

真ん中にはアポロチョコのような高田大岳と、その左に雛岳。

振り返ると、大岳の北斜面にもパーティの姿が見えます。

どこのガイドチームかな?

ここは大井戸沢の斜面。めっちゃフィルムクラストぢゃん!!
滑ってしまいたい気持ちをガマンして一応赤倉の山頂目指します。
↑
ガイドのサトシ君も同じこと考えてたらしいww もう周りに美味しそうな斜面がいーっぱいなので、目移りしまくりです!

やっとこさ赤倉岳と井戸岳の鞍部へ。奥に見えているのが大岳です。
ズームアップしてみると…

山頂に人がいるのが判りますね。その直下にも1パーティ!

これは酸ヶ湯チームかな? 途中であった隊長チーム、今日は大岳硫黄~睡蓮沼だって♪
4/1に酸ヶ湯~谷地温泉の区間の《雪の回廊》が開通したので、各チームの山越えルートのコースが増える時期です。

こちらはガイド時代に仲良しだったモトハシさんかな? それにしてもうねりが大きいっす。。
さて、一息つきながらシールを外してワックス塗ったりして滑走準備です。
せっかくなので集合写真も!

こんなに穏やかな日って、シーズン中何回もあるものではありません。
『皆さんの普段の行いが良かったんですね』と誰かが言うと、別の方向から『行いが良かった自覚はないんだけど』っていう素直な声がww
いやー、これで給料もらっちゃっていいんだろか?しばらく店の連中にはナイショにしとこっと。
さぁ、いよいよ八甲田3大斜面の《赤倉岳大斜面》の滑降です!!
まずガイドのサトシ君が雪の状態を滑って確認し、無線で状況を伝えてくれることに

丁寧に、そして力強くターンしていきます。

尾根の上を滑る時、斜面の向いている方向が少し変わるだけで雪質がガラっと変わることがあります。
この日も、カメラの立ち位置は若干引っ掛かる雪でした。

左手のボウルの中に入ろうかと思ったけど、先頭からの無線内容だと尾根を流して滑っていったほうが雪がいいみたいとのこと。
ゲストの皆さんに注意事項を伝え、一人ずつスタートしてもらいます♪
こちらはKさん


Yさん


トモくんパパのM山さん


M橋さん

これが今回のベストショットかなー
正面が高田大岳で右が小岳 奥に白く並んでいるのは十和田湖の外輪山の大駒ヶ峰や十和利山ですね

さぁ、BCデビュー戦のHさん

しっかりプルークしてからの…

シュテムターン!
テレマークの道具を使ってのアルペンターンって、意外と大切な技術なんです。

しっかりフォローして仕事中のトモくん。
そしてラストからSさん!!



あっという間に中段まで降りてきちゃいました。
が…まだまだ斜面は半分残ってるんです♪

傾斜が少し緩くなると所々フィルムクラストっぽい部分も!

背後のてっぺんがスタート地点です!
いやー、気持ちよかったっす!!
大斜面に刻んだシュプールを見上げながら、ここで少し遅めのランチタイムとしました。
しばらくすると、何やら香ばしい匂いが立ち込めてきまして..

トモくんがゲストの方たちのために、リンゴ入りのパンケーキを焼いてくれました!!!
実は私、ガイドになりたての頃にこのポイントの近くで同じようなことを考えてホットケーキを丸焦げにしたことがありまして…
サトシ君もそれを覚えていて、コワゴワ覗きに行ってますw

ところが、激ウマでした!!
あの焦げるような匂いは、バターで砂糖を焦がしてカラメルを作っていたんだとか!
事前に家で焼く練習をしていたら母親に『お前どうした?』と真顔で心配されたらしいのですが、 《Light and Fast》だけじゃない新たな彼の方向性が見えたような気がしました
ってことで記念撮影っ!

溶岩石プレートを『バエると思って』というだけの理由で背負ってきちゃう20代!
若いってステキw
さて、名残惜しいけれどランチの後は先を目指します。

箒場岱ルートの魅力は、大斜面が終わってもオープンの緩斜面がまだまだ続くこと。時々このように振り返って足休めして、

緩斜面といえど、この程度の傾斜はあるので滑りも楽しめますよ!

林間に入る直前に記念撮影! この日は後ろの山の左下へ延びる尾根を滑ってきました \(^o^)/
拡大するとこんな感じ

山頂から大回りで左下へ滑り込んでいるのがみんなのシュプール。
雪質によってはボウルの中に滑り込んだり右の尾根を滑ったり、自由に使える大斜面です。
ここからは傾斜もフラットになり、雪も若干ブレーキがかかるような…

大きなブナやミズナラが混生する素敵な森を進んでいきます。

やがて森が開ければ、ゴールは目前。ゴールするまで風もほとんどなく、穏やかなままの山でした。
山の神様、一日ありがとうございました!

ゴールの箒場岱にはお茶さんが3軒並んでおり、こちらは八甲田山荘の外崎さんのところ
トノさんのおばあちゃんの石像は、開拓に尽力したおばあちゃんを称えるものかと思いきや 『いつまでもこの景色を見ていたい』という本人が建てたものだそう
それほどこの地を愛していたんですね。

八甲田ロープウェイまでの帰路は、サトシ君の好意で雪の回廊経由!
壁の高さが例年と比べてかなり高いような…
ここは睡蓮沼の駐車帯。バス2台分くらいの高さがあるの、わかりますか?
回廊の開通直後は適当なところへ下山すると、道路に降りることができません。
ガイドツアーに入らずフリーで動く方はお気を付けください。
さぁ、ロープウェイ山麓駅に戻ってきました。

皆さん、一日お疲れさまでした!よく歩きよく滑った一日でしたネ。
グリーンハウスのスキーツアーは今後も定期的にやっていきたいと思いますが、 特に八甲田エリアは今回お世話になった酸ヶ湯温泉以外にもガイドチームが多くあるので、各チームとのコラボ企画を重ねていきたいと思います。
それぞれのチームに色があり、それぞれのフィーリングに合うガイドチームを見つける一助となることができたら、私たちもとても嬉しく思います。
また、普段店頭では伝えきれないことや山の中じゃないと伝えられないこと・山の中でこそ伝えたいことというのがたくさんあります。
それと同時に皆さんが『こういうこと知りたい!』『こういう内容のツアーがあったらいいな!』 というものがあったら、ぜひそれをスタッフにリクエストしてください。 皆さんとフィールドでの体験を共にし、今後も一緒に楽しいツアーを作っていければと思います。