EVENT

イベント情報を
お知らせします

  1. HOME
  2. イベント
  3. 八幡平BCツアーに行ってきました!【イベントレポート】

八幡平BCツアーに行ってきました!【イベントレポート】

みなさんこんにちは。盛岡店のトーチャンです。

今回は、去る2月6日に開催されたグリーンハウス主催の八幡平BCツアー講習会の様子をお伝えします。

今回の企画は《ガンガン滑る》よりも、トータルで山を楽しみながら《より安全で実践的な行動を理解し身に着ける》ことに重きを置くことに。

そこで私がかれこれ20年来お世話になっている八幡平のレジェンドの一人である日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(ステージ2)・スキーガイド(ステージ1)の平山順子氏(以下ヨリコさん)にお手伝いをお願いし、BC経験が浅い方や更なるスキルアップを図りたい方々にお集まりいただきました。

ちなみにヨリコさんですが、山のスペシャリストでありながらも音楽家でもありまして、
若いころに海外青年協力隊の隊員として南米パラグアイにピアノの指導に行った経歴をお持ちなんです!
そしてその時に現地で出会った大型のハープ《アルパ》をマスターすべく、帰国後に再び南米へ渡って修行
現在は地元八幡平の山々の登山道の整備などもしながらアルパの奏者としても活動されています。

平山さんのFacebookはコチラ

さて、前置きが長くなりました。

2/6の朝は9時に八幡平リゾート・下倉スキー場に集合、皆さん気合が入っており30分前にはほぼ全員集合できておりました。

お互いの距離が近くなる部分などでは感染症対策も講じつつ、入山届けをスキー場に提出しゲストの参加受付を済ませ、スキーを装着してから《大きめのザックを背負っている場合のリフト乗車の姿勢》などを皆さんにレクチャーしてから出発ですっ!

第3リフトまで乗り継ぎ、ゲレンデトップに到着。早速シールを装着します。

BC初心者もOKのツアーでしたが、途中の急斜面でチェックしたところ滑走技術には全く問題なしの皆さん、ハイクアップの準備もバッチリですね。

吹雪の中でシールを装着するようなシーンでは、粘着面にいかに雪が付かないように作業するかが大切なポイントになります。

さて、ここから正面の森の中へ進みます。

ここ数日は降雪もこのエリアにしてはそれほど多くなかったとのこと

膝下くらいのラッセルが続きます。

 

 

あまり頑張りすぎると汗で体が冷えてしまうのですが、この日の下倉スキー場の最低気温(ボトム)は天気予報によればマイナス14℃。
休憩を取りすぎても体が冷えてしまうというシチュエーションでしたが、ガイドのヨリコさんが絶妙なタイミングでレストを入れながら、雪の話や皆さんが身に着けているビーコンの話などをしてくれます。

斜面の状況を仲間に伝えるときなどに『右』とか『左』と言っても、それは誰から見て『右』なのかがはっきりしないと、情報として不完全です。
そこで出てくるのが《スキーヤーズ・レフト》とか《スキーヤーズ・ライト》という用語。
『滑り手から見たときにどちらの方向なのか』、これをベースにして会話をするのです。
例えば…
先頭のスキーヤーが滑り出す前に『この斜面は右手側にクラック(亀裂)があるよ』と伝えれば、2番手は進行方向の左に行くでしょう。
それがもし、先頭が斜面の下で振り返って自分を中心に『左にクラックがあるから右に行け』なんて伝えたら、2番手は自分から見て右にあるクラックに向かって突っ込んでいってしまいますよね。
そこで《共通言語》として『スキーヤーズ・レフト』『スキーヤーズ・ライト』という言葉が出てきます。
つまり、『滑り手から見て右なのか左なのか』という前提条件の下で意思疎通をするのです。

映画などで戦闘機のパイロットが『3時の方向に敵機』なんて言うシーンがありますが、あれに似ていますね。
そんな例え話をしながら用語解説をしていきます。

一同『ほぉぉぉー』

あまり話が脱線すると寒くなっちゃうので、どんどん進んでいきます!

標高を上げていくと、風当たりが強い場所ではブナに混じってアオモリトドマツが現れます。

キクラゲが生える話なんかもしつつ、なぜかポケットに入っている実物をゲストの皆さんに見てもらったり・・・

時にはこんな大きなブナの木も現れます。樹齢で100年は超えていそうですね。

次の休憩ではゾンデ(プローブ)を伸ばして積雪の深さを測ったり、ゲストの皆さんにゾンデをまわして積雪層内にある硬さの違う層を実際にツンツンして体感してもらったり・・・。

弱層を知るときに深い穴を掘って《ピットチェック》ということを行いますが、時間と労力がかなりかかります。
そこで、簡易的に積雪内部の層の違いを知るための手段としてもゾンデでツンツンしてみるのも有効です。

買ったまま伸ばすこともなく携帯していても『いざ』というときに組み立て方法が分からずパニックになることもあるし、実際の捜索では仲間のゾンデを借りるシーンが出てくるので、いくつかのゾンデを組み立てたり収納したりというのを体験するのが大切ですね。

そんな話をガイドのヨリコさんからみんなで聞いて『なるほどー』の連発です。

さて、さらに先を目指します。

下倉スキー場から中倉山までは東西に延びる尾根を進むのですが、南側は基本的に《崖》です。

陽が射してきたので、ちょっと覗いてみます。

ここはそれほど急じゃないところですが、斜度は45度を越えています。

『ちょっと滑ってきたら?』なんて言われましたが、もちろん遠慮しておきましたw。
中倉山の山頂は平らで三日月型なのですが、その手前は標高差にして200mほどの登りがあります。
少し開けた急斜面では万一崩れた時にパーティが全滅することなく仲間を助けることができるように、間隔をあけて行動することを教わり、早速実践します。

それにしてもヨリコさんのペースは速い! 膝上程の雪をものともせず、全くペースが変わりません。

『これでもお客さんがいるから抑えてるんだけどね~』って。。

中倉山の頂稜の一部にて

雪山は一瞬の光で目まぐるしく変わる。

景色の中には白と黒しかないはずなのに、そこに光が降り注ぐと饗宴が始まる。

吹き付ける強風で、トドマツたちの間に大きなうねりができる。

さぁ、もうちょい!

そして・・・

ビューポイントに到着!

眼下の平地は《源美沼》 雪がない時期は湿生植物がいろいろありそうですが、地形図に登山道の表記はありません。

どうりで検索しても写真がヒットしないわけです。

源美沼の左、つまり南側はご覧のような斜面

大量に保水した台地の脇がこんな急斜面というのも不思議な地形です。

どんな歴史があったのだろう・・・

さて、各自風景を撮影したり心に焼き付けたりした後は、中倉山の北東斜面に移動してシールを外します。

片足を脱いで一歩踏み出すと、いきなり腰まで潜ってしまうことも・・・
こんな時は片足だけスキーを脱いでシールを外し、その板を履いてからもう片足のシールを外すなんてことも必要になります。
両足脱いだ結果、スキーが胸の高さになっちゃって履けないなんていうシーンにも遭遇したことがありますww
また、ビンディングの種類によっては歩行時に雪が詰まってしまい、なかなか滑走モードに切り替えができないことがあります。

自身のビンディングの特性やウィークポイントを知っておくと、吹雪いていたりしてもパニックにならず『あ、このパターンだと多分あそこだな!』と見当をつけて冷静に対処することができます。
全員が無事に滑走準備を整えたところで斜面のトップに移動し、ガイドのヨリコさんに先頭をお願いし、この日のためにカメラを買ってきた八戸店のM君には撮影ポイントに行ってもらいます。

ヨリコさんの滑りを撮ろうと思ったのですが・・・

露出調整しているうちに下まで行っちゃってました。。

登りも早いんだけど、滑りも早いんですww

次はカメラマン役のM君

あ、ストックは曲げちゃったのではなく《曲げ加工》をしたPOLEFREAKのものを使用しています
アラフィフのトーチャンには、若い頃に流行ったSMITHの《Z Bend》のようで懐かしさを感じます
ちなみに見た目に反してスイングウェイトがものすごく軽く、M君イチオシのブランドです

 

ここからはM君撮影のゲストの方たちの写真です

先頭で飛び込んだのは盛岡から参加のHさんでしょうか?

 

 

膝パフの軽い雪を満喫しています。

 

少し板を振ると見事なスプレーが上がります!

続いては力強い正統派の滑り

 

 

みんなが滑ったラインを少し外せば、まだまだノントラック!

 

こちらはゲストの中で紅一点参加のIさん

 

後ろから見ていて、すごく美しいフォームで滑っていました

最後にトーチャンの滑りをどうぞ

 

残り物には福があるっ! ゲストの皆さんが無事に下に着いたところで、バーンの端のパウダーをいただきました♪

 

いやー、気持ちよかったっす。

こんなんで給料いただいてスミマセンw

さて、ひとしきり雪の良さに酔いしれた後は、林間滑降が待っています。

写真は撮れなかったのですが、ここもうまく傾斜をつないで夏場の観光道路である樹海ラインに抜けます。

道路の手前 沢沿い(若旗沢右股)に降りてくると、沢はトンネルで道路の下を抜けていくので道路へは若干の登り。

 

樹海ラインに抜けたら東へ

少し登り基調になっていましたが、ゴハンの後なのでみなさん元気です♪

2本目のツリーランのエントリー前に記念撮影

今回はコロナの影響で参加できなくなってしまった方もいらっしゃいました。早く以前のように気兼ねなく遊べるようになるといいですね。

さて、樹海ラインから一段下にある発電所巡視道までは標高差300m近くのツリーランです。
ここにはブナの巨木が点在し、たまに一人で行くことも・・・
そのブナの保水力について話をしたり、水を抱えているからこその特性や寿命などを解説したり・・・

そして、ツリーランの注意点は『木を見ないこと』という一番大切なポイントも!

見ると、行っちゃうんです。
木に向かって一直線に・・・
これはオカルトじみた話じゃなくて、視線を向けた場所に向かっていくんですね、スキーというものは・・・
テレマークスキーの師匠である澤田啓さんから若い頃に教わった言葉が《Space to Space》でした。

八甲田のスキーガイド時代、自分がすり抜けていくラインを次々に目で追いかけていけば狭いツリーランも怖くないことに気づき、それと同時に木に当たってケガをしたゲストに『木、見た?』と聞くと『見ちゃった』と答える人が9割以上であることも分かりました。

ということで皆さん、ツリーランの極意は《Space to Space》ですっ!

 

写真だと斜度感が分かりづらいのですが、緩急織り交ぜながら適度な間隔のブナの間を滑っていきます。

ひゃっほー♪

ゴーゴー♪

さぁ、本日の滑りももうちょいです!

最後は除雪されている巡視道へ!

ここを東に進みます。
もうちょっと東に出られると下り基調なのですが、この日は少し西に寄っちゃいました。
この辺のルートファインディング能力もまた、BCでの大切なスキルですね。

途中でショートカットしてゲレンデへ!最終的に、15時を過ぎてセンターハウスに戻ってきました!

今回ご一緒した皆さん、このような状況下ではありながらも、遠くからもご参加を頂きましてありがとうございました。

完全な晴天とはいきませんでしたが雪の質も深さも今回のルートに対してちょうど良く、思った以上に足並みが揃った快適なパウダーツアーとなりました。
今後もツアーの企画と絡めながら、BCスキー特有の道具の使い方やレスキューの講習など、主催・紹介含めていろいろなスタイルの体験提案をしていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

最後に、ガイドの平山順子さんには大変お世話になりました。
事前の打ち合わせもなかなか対面で行えませんでしたが、期待通りの充実した内容となりました。
今後とも、ぜひ宜しくお願い致します。

グリーンハウスのBCスキー企画、次回は2月20日(日)の八甲田ツアー3月11~14日のBCスキー試乗会in網張温泉スキー場&八甲田国際スキー場と、まだまだ続きますので、お誘いあわせの上ぜひご参加ください!!

関連イベント